日本創成の神話で筑紫と共に重要な場所が火の国です。
火の国で最初にご紹介する神社はインスタグラムでも有名でアニメ「蛍火の社へ」でもおなじみの神社です。
由緒
【里俗】穿戸権現(ウゲトゴンゲン)
【祭神】伊邪那岐命(イザナギノミコト)、伊邪那美命(イザナミノミコト)
【由緒】
阿蘇大明神の荒神、石君大将軍八葉の兜の中に出現の二神は、熊野大神也と云える伝説によりて、社殿を建立せる処に、大島二羽来たり、神献すべき梛の枝を咥持ちて、東麓を指して飛び行き、洞窟の在る処に止まりたれば、その処に一社建立熊野穿戸社と崇め、南郷の総鎮守として祭祀し来たる。
【なぎ(椰)の葉】
熊野三山(那智大社、速玉大社、本宮大社)における熊野権現の御神木でもあり、その葉に魔よけの力があると信じられたことから、昔から熊野詣の帰りに持ち帰る旅人も多く、帰りの道中を守護してくれるお守りとしても用いられました。ナギは凪に繋がり、波風を鎮めること、葉脈のない葉の特徴から(横方向に筋がありません)縦には簡単にさけるものの、横に引きちぎろうとすると相当の力が必要です。このことから昔から男女が『縁が切れないように』とお互いになぎの葉を身につけたり、鏡の裏にそっとしのばせてお守りとしてきました。
また嫁ぐ娘に母親が持たせることもあったそうです。男女のご縁に関わらず、大切な人とのご縁を結ぶなぎの木は、人と人とのご縁を結ぶことから『商売繁盛』にも通じる大変縁起のよい木なのです。
ちなみに『千早ぶる くまのゝ宮の なぎの葉を かわらぬ千代の ためしにぞ折る』は、新古今和歌集の選者の一人、藤原定家の和歌です。(現地案内板より)
上色見熊野座神社の由来
穿戸岩(うげどいわ)
古い昔、阿蘇大明神が弓を楽しみ、阿蘇山頂より矢を放たれた、この際大明神の従者、鬼八法師が、主人の矢をいちいち拾い来る事を面倒くさく思い、足の指に挟み投げ返した、これに大明神が激怒し猛追され、当上色見の外輪山を越えて逃げんとしたが、この岩壁に阻害された。この時岩壁を蹴破って逃げ去った岩穴が穿戸である。その後熊野社の創立は室町時代以降であろうと思われるが、次のような伝承がある。
「阿蘇大神の荒人神、石君代将軍、八葉の兜の中に出現の二神は熊野大神なりという伝説により社殿を建立するに当たり、大鳥二羽飛翔し来り神献すべき榊の枝を食い持ちて山の東麓を指して飛びゆき洞窟(穿戸)のある所に止まったので、そこに一社建立、熊野穿戸社と崇め、石君と同じく南麓の鎮守守として祭祀してきた。
歴史を背景とする穿戸
上色目外輪山下の大村地区後方に、四~五世紀の古墳が多く発見されている。そこに住む住人が信仰の対象として、尊い磐・稀有な岩穴である。大木・滝や山等、自然物は神が降臨して宿る依り代として考えられていた。
つまり、自然物が神ではなく、人々の崇拝を通じ考えられたからである。従って、稀有な岩穴は特別な処であり「神気」を感じる処として、信仰の対象となったと推測される。
祭祀が営まれるようになったのは、鎌倉時代から室町時代初期と考えられ、我々の祖先が山岳信仰と岩石信仰の広がりとともに修験者がこの神社に紀伊熊野三山の伊邪那岐・伊邪那美二柱の大神を祀り、上色目熊野座神社(熊野権現)としたと考えられる。
現在も里人に、「穿戸権現」として親しまれ、崇められていることを見てもこの地での「神気」に満ちた特別な場所であることがうかがえる。
参道
神社の参道約300m程で空気が変わります。
この岩は鬼八法師が阿蘇大明神に追い付いて矢部に向かう途中にぶつかった岩塊だそうです。
蛍火の社が見えてきました。
拝殿
神紋は違いナギ 阿蘇氏は違い鷹羽が神紋ですが伝承にある魔除けのはナギの葉です。
蛍火の社へ
本殿
本殿は光の入るここですね
この穴は鬼八が蹴破った穴だそうです。
霜宮の鬼八伝説
阿蘇大明神(健磐龍命)に使える鬼八法師は大明神が的石(旧・阿蘇町)を的に蛇の尾山から弓を射るたびに矢を取りに行っていたが、疲れてしまい、足の指に挟んで矢を投げ返した。投げ返した矢は大明神の足に当たってしまいました。大明神が怒って追いかけ、鬼八は逃げ走り、高森に到ると岩を穿って天へのぼり、霜を頻りに降らせた。そこで霜宮に祀ってその体を綿に包んだ。肌を温めるための火焚きが疎略になると早く霜を降らせると伝えられています。
実は鬼八は99本目までは拾って持って行ったが、疲れて100本目は足で返した。高森から矢部に逃げて8回放屁したので「八屁」から「矢部」の地名となったという。大明神に討たれた鬼八の首が天に昇って霜を降らすようになったので、火焚きをして首の傷を温めている等々、鬼八をめぐる伝説は数多く語り継がれている。
鬼八法師
九州地方に伝わる霜の化身 気候を操る力を持つ 首をはねられても蘇る再生能力がある。霜害をもたらす妖怪である。健磐龍命の家来
ここの説話に登場する阿蘇大明神(健磐龍命)が阿蘇の一之宮 阿蘇神社の祭神であり神話でも皆さまおなじみの別名なのです。
コメント